替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
王女シャルア




「本当に見違えるようだ。
こんなに元気になるなんて…」

国王は、私を見て首を振る。



「陛下……実は、私……
陛下に謝らなくてはならないことがございます。」

「謝る…?何のことだ?」

「実は…今回、私は魔法使いの力を借りました。」

「なんだと!?」

陛下の眉間に、深い溝が彫り込まれた。




「私の体内の毒は、治る見込みがないと言われていました。
ですが、私が元気になれなければ、アーリアの神託は遂行出来ず、そうなれば、リゴレットは滅びてしまいます。
私はなんとしてでも、そうはしたくなかったのです。
それで、ある時…魔法使いのことを思い出しました。
彼らは、普通の人間には作れないような秘薬を作ることが出来ます。
ですから…もしかしたら、魔法使いに頼めば、解毒剤を作ってくれるのではないかと、そう考えたのです。」

「そういうことだったか…最近、城の中でサンドラを見たという者がいたのは…」

「はい、サンドラに相談し、薬に詳しい魔法使いに頼んで解毒剤を作ってもらいました。」

「……実を申すと、私は、リゴレットのことは諦めていた。
そなたの体が治ることはないだろうし、我が国もガザンのように滅びてしまうのだろうと…
この国が存続出来る手立てなどないと考えていた。
だが…そなたは諦めてなかったのだな。
私がもう少し柔軟な考えをしていたら、そなたはもっと早くに元気になっていたのかもしれぬ。
シャルア…本当にすまなかった。」

陛下はそう言って、私の手を握られた。


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