替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「そういえば、そなた…故郷はどこなのだ?」

陛下に訊かれたくなかったことを訊かれてしまった。



「は、はい…ずっと南の小国です。」

私は言葉を濁らせ、誤魔化した。



「南の…?それではリゴレットには行ったことがあるか?」

「……はい。」

「そなた…シャルア王女を知っているか?」

「はい。」



厳密には、それはサキのことだ。
知らないわけがない。



「シャルア王女は、どのような方だ?
重い病にかかられてると聞いたが…
私もだいぶ以前にあるパーティで一度だけお会いしたことがあるのだが、その時はまだお元気だった。」

「シャルア王女様は、お優しくてとても可愛い方ですよ。
それに、最近はずいぶんとお元気になられましたよ。」

「まるで王女に会ったような言い方だな。」

「はい、最近、私は王女様に直接お会いしました。
私の知り合いが、ガザン王家の血を引く者だとわかりまして、それで、ご挨拶に行ったのです。」

「なんと、ガザン王家の血を引く者だと!?」



陛下たちはマリウスの話題に関心を寄せたようだった。
私はマリウスと一緒に剣を探しに行った時のことなどを話して聞かせた。
ただ、サキも一緒だったということだけは伏せて……



「そうか、それはたいそう喜ばしいことだな。
余も、ぜひガザンの再興に協力しよう。」

「陛下にそう言っていただけたら、マリウス様もきっとお喜びになります。」

陛下は何度も頷かれた。
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