替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「……ジャミナに何か?」

今度は私の方から訊ねてみた。



「いえ…あそこは温暖な気候のとても美しい国ですから…
帰りにでも立ち寄られたら良ろしいかと思いますよ。」

「そうなんですね。楽しみです。」



私の考えすぎなのだろうか?
初めてヒルダが部屋に来た時、そのことをルーサーに言ったら、ヒルダは君が男前だから気に入ったんじゃないか?と笑った。
本当にそれだけのことなのだろうか?
やましいところがあるから、私が疑り深くなっているだけのことなのだろうか?



その後もヒルダは私の部屋を度々訪れた。
いつも、お茶を飲みながら他愛ない会話を交わすだけだが、でも、彼女が聞きたがるのは、やっぱり私の親兄弟や生まれ育ったところの話だ。



本当のことは答えられないので、私は相変わらず嘘を並べ立てている。



そんなある日のこと……



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