替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「シャルア様、近々、ヴァリアンの王子とご結婚なさるとのことですが、どちらの王子と結婚なさるのですか?」

どこかの王様が、私にそんな質問を投げかけた。



「そ、それは……」

「実は、まだ決まっていないのです。」

私が答えに困っていたら、ルーサーさんが代わりに答えてくれた。



「まだ決まっていない?
何か問題でもあるのですか?」

「問題というわけではないのですが、最高の縁組をしたいと思いまして、魔法使い達に私達の持って生まれた星や名前の響き、方角等から、日々協議しておるのですが、まだその結果が出ていないのです。」

「なるほど。そういうことですか。」

そのことは私も初耳だったから、同じように納得した。
つまりは、占いみたいなものだよね。
占いで結婚相手を決めるとは、ヴァリアンは、意外と迷信深い国なのかな?



「お二人には、想い人がおられるとのことですが、そのことでご結婚を引き延ばされているのではないのですか?」

頬を染めた男性が、そんなことを言った。
酔ってるのかもしれないけど、失礼な質問だ。



「そのようなことは全くありません。
私やマーカスにとって、一番大切なものは国と民ですから。」

きっぱりと言い切ったルーサーさんは、とても格好良いと思えた。
確かに、私も同じように思ってるけど…
でも、フェルナンさんのことを、そんなにすっぱり忘れられるだろうか?



(もしかしたら……)



ルーサーさんやマーカスさんは、とりあえず私と結婚して、その後、本当に好きな人を側室として迎えるつもりなのかな?
だから、私との結婚も我慢出来るとか…?



私は女だから、そういうことは出来ない。
女にもそんなことが出来るなら…
それなら、フェルナンさんと一緒にいられるのに…
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