替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「それにしても、ここは暖かいし、自然の豊かな美しい国だね。
マーカスはすでにあちこち探索して来たようで、良く話を聞かせてくれるんだ。
私もそのうち見に行きたいと思っている。」

実は、私はお城の外にはまだあんまり出たことがないんだよね。
そっか、ここはそんなに綺麗な国なんだ。



(あ……)



「そういえば、ヴァリアンはどんな所なのですか?」

「ヴァリアンは、ここよりもずっと寒い。
冬の間は、何か月も雪に閉ざされる。
しかし、自然の美しさでは負けないぞ。
君は、雪景色を見たことがあるか?」

「え?えっと…ありません。」



実は見たことはある。
高校の時、友達とスキーをしに行ったことがあるから。
それに、私の住んでた所にも、何度か雪が積もったことがあるし。
まぁ、そんなにすごい量ではなかったけど…



でも、今の私はシャルアさんだから。
見たことあるとは言えないよね。



「雪景色というのもなかなか良いもんだぞ。
何もかもが白で埋め尽くされている景色というのは、まるで別の世界のように見える。」

「そうなんですね。
私もぜひ見てみたいです。」

「結婚すればいつでも見られる。」

「あ…そうですね。」



そっか…
結婚したら、私はヴァリアンに住むんだから…
どちらかというと寒いのは苦手だけど、大丈夫かな?
無茶苦茶寒かったらちょっといやだな。


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