替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする




「そうなのですね。
ヴァリアンの雪景色…私もぜひ見てみたかったです。」

夜になるといつものように隠し部屋に行って、シャルアさんやサンドラさんと他愛ない会話を交わした。



「ヴァリアンは、海産物も良く採れるらしいですね。」

「そうなんですね。
それは楽しみです。
結婚したら、美味しい食事が食べられそうですね。」

「……ということは、シャキア様はルーサー様とのご結婚をお望みなのですね?」

私には、サンドラさんの言葉の意味が良く分からなかった。



「どういうことですか?」

「ルーサー様はヴァリアンの王位継承者です。
ですから、ルーサー様とご結婚されれば、シャキア様はヴァリアンに行かれることになります。
ですが、マーカス様とご結婚されることになれば、マーカス様がこちらに来て、リゴレットを継承するということもあり得ます。」

「そうなんですか!?」

そういえば、そのあたりのこと、何も考えてなかった。
でも、言われてみれば、王位継承っていうのはとても大切なこと…



あれ?
じゃあ、もし、私がルーサーさんと結婚することになったら…この国の継承者は誰になるの?
この国には王女しかいないし、他に誰もいないのに大丈夫なの!?



不意に頭に浮かんだ質問を、私はサンドラさんにぶつけた。
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