替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「そのことなら、心配はありません。
王位継承者はいらっしゃいます。」
「サンドラ…それは本当なのですか?
誰がいるというのです?」
私が知りたかったことを、シャルアさんが代わりに訊いてくれた。
「シャルア様…アレクセイ殿下を憶えてらっしゃいませんか?」
「アレクセイ…殿下…ですか?」
「シャルア様はまだお小さかったから、憶えてらっしゃらないかもしれませんね。
アレクセイ殿下は、陛下の弟君です。
つまり、シャルア様の叔父様にあたられる方です。」
「叔父様…?やはり思い出せません。
どのような方なのですか?」
「……とてもお優しいお方でしたよ。」
サンドラさんの言葉が過去形だったのが妙に気になった。
「あの…舞踏会にも来られてましたか?」
嫌な予感を感じながら、私は敢えて質問した。
「いえ…アレクセイ殿下はもうずいぶん前に亡くなられました。」
やはり思った通りだ。
亡くなられてたから、過去形だったんだね…
まだ亡くなられるようなお年ではないと思うのだけど…
「アレクセイ殿下はどうして亡くなられたのですか?」
「ご病気でした。
元々、病弱なお方でしたが、ご結婚なされ、お子様も誕生し…
もしかしたら、体調も良くなられるのではないかと思われたのですが、持病が突然悪化されて…」
「……そうだったのですか。
でも、おかしいですね。
私は、叔父様のお見舞いに行った記憶すらありません。」
「それは……」
サンドラさんは急に口をつぐみ、その顔には暗い影が差した。
王位継承者はいらっしゃいます。」
「サンドラ…それは本当なのですか?
誰がいるというのです?」
私が知りたかったことを、シャルアさんが代わりに訊いてくれた。
「シャルア様…アレクセイ殿下を憶えてらっしゃいませんか?」
「アレクセイ…殿下…ですか?」
「シャルア様はまだお小さかったから、憶えてらっしゃらないかもしれませんね。
アレクセイ殿下は、陛下の弟君です。
つまり、シャルア様の叔父様にあたられる方です。」
「叔父様…?やはり思い出せません。
どのような方なのですか?」
「……とてもお優しいお方でしたよ。」
サンドラさんの言葉が過去形だったのが妙に気になった。
「あの…舞踏会にも来られてましたか?」
嫌な予感を感じながら、私は敢えて質問した。
「いえ…アレクセイ殿下はもうずいぶん前に亡くなられました。」
やはり思った通りだ。
亡くなられてたから、過去形だったんだね…
まだ亡くなられるようなお年ではないと思うのだけど…
「アレクセイ殿下はどうして亡くなられたのですか?」
「ご病気でした。
元々、病弱なお方でしたが、ご結婚なされ、お子様も誕生し…
もしかしたら、体調も良くなられるのではないかと思われたのですが、持病が突然悪化されて…」
「……そうだったのですか。
でも、おかしいですね。
私は、叔父様のお見舞いに行った記憶すらありません。」
「それは……」
サンドラさんは急に口をつぐみ、その顔には暗い影が差した。