替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
side ルーサー




「なんだと?まだ、決まってないのか?」

「はぁ、申し訳ございません。」

「なぜだ?なぜ、こんなに時間がかかる?
何か問題でもあるのか?」

「い、いえ、そういうわけでは...」

歯切れの悪い魔法使いの言葉に、私は思わず、ため息を吐いた。



いくらなんでも、もう結果が出ているだろうと思っていたが、まだだという。
しかも、なぜこんなに時間がかかるのかということにも明確な答えがない。
私はそう短気な方ではないが、さすがに待ちくたびれてしまった。



「ルーサー様...フェルナン様は御一緒ではないのですか?」

ヒルダが私に訊ねる。



「フェルナンなら、どこかに行ってしまった。」

「えっ!?どういうことですか?
御一緒にこちらにお戻りの予定ではなかったのですか?」

ヒルダは酷く焦った様子でそう言った。



「あぁ、そのつもりだったのだがな。
しかし、フェルナンはどこかへ行ってしまったのだ。」

「ど、どちらへ?」

「それはわからん。」



私がそう答えると、ヒルダは落胆し、肩を落として部屋を出ていった。
ヒルダはそこまでフェルナンのことを気にいっていたのか。
自分の孫...いや、それ以上に年下だというのに、困ったものだ。



(フェルナンも罪な男だな...)



笑っては申し訳ないと思いつつ...私は思わず失笑してしまった。
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