替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
不便なのはいやだけど…
きっと、私はこの先、この古めかしい世界で生きて行かなきゃならないんだよね。
って、なぜ、こんなにも受け入れ態勢が整ってるのか、自分でも不思議なんだけど…



そういえば、私はたまに「ハーフ?」って聞かれることがあって…
色白だし、髪も最初から茶色。
それは、お父さんやお母さんに外国の血が混じってるからだと思ってたけど、フェルナンさんは、明らかに西洋風の顔つきをしている。
髪だって、金色に近い。
もしかしたら、ここの人はみんな西洋風の見た目なんだろうか?
まだフェルナンさんしか見たことないから、そんなこともわからない。
逆に、フェルナンさんは私を見て、特に違和感を感じてる様子はなかったから、きっと私みたいな雰囲気の人もいるんじゃないかな?



ふと、気付くと、夕日が空を真っ赤に染めていた。
電信柱も電線も、高いビルも何もないから、空はどこまでも広い。



(あ……)



フェルナンさんが帰って来るのが見えて、私は手を振った。
それに気づいて、フェルナンさんも手を振り返してくれた。
まだ『友達』とも言えない関係だけど…なんだかちょっときゅんとするのは、フェルナンさんが格好良いから!?



そういえば、この三日間…小林さんのこともすっかり忘れてた。
小林さんからプレゼントをもらって、あんなに嬉しかったのに…
でも、それも、仕方ないよね…
こんな信じられないような出来事が起きたんだもん。
パニックにもなるよね…
いや、もしかして…それもフェルナンさんがとっても格好良いせい…!?



「……起きてて大丈夫なのか?」

「は、はい。」

フェルナンさんの優しい言葉に、またきゅんと胸がときめいた。
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