替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「シャルア王女、おめでとうございます!」



その後のことは、何も覚えていない。
指輪の交換やら、宣誓やらいくつか手順はあったのだけど、ちゃんとこなせたのかどうかもわからない。



気が付いたら、すでに、儀式は終わっていて...



私は、陛下達と一緒にバルコニーに出ていた。
ヴァリアンの国王と王妃様、そして、なぜだか、私の隣にはフェルナンさんがいて...



眼下には民たちがいて、旗を振ったり、手を振ったりしている。
皆、笑顔で私達を見てる...



いまだに、これが現実なのかどうなのか、わからない。



「シャルア、手くらい振ったらどうだ?」

「え?は、はい。」

陛下に言われて、私は民に手を振った。
わっと、歓声が上がる。



「おめでとうございます!」

「シャルア様、フェルナン様、バンザイ!」



(フェルナンさん?)



私は今一度、隣を見た。
そこにいるのは、やっぱりフェルナンさん。
ルーサーさんでも、マーカスさんでもない、フェルナンさん...



それを確認しただけで、また涙がこぼれた。
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