替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「わかりました。あなたの言う通りにします。」

私とサンドラさんでシャルアさんを両側から支える。
体のあまりの軽さに、切なさが募る。
サンドラさんの魔法で、私達は、門の場所へ一瞬で飛んだ。



「シャルア様!」

そこには学者のハリードが待っていた。



「ハリード。ロゼッタ石は確実に足りているのですね?」

「はい、私の計算に間違いはございません。」

シャルアさんは、門の前に寝かされた。



「シャルア様、何の心配もいりませんからね。私もすぐに参りますから。」

「ありがとう。私なら大丈夫です。」

「では、門を動かします。」

「待って!」



私は、シャルアさんの手を握り締めた。



「シャルアさん、必ず生きて下さい!絶対に諦めないで!絶対ですよ!」

感情が高ぶり、涙が込み上げる。



「シャキア...わかりました。約束します。」

シャルアさんも目にうっすらと涙を浮かべていた。



「こ、これはお守りです。」

私は以前、小林さんにもらったペンダントをシャルアさんの手の中にねじこんだ。



「シャキア...ありがとう。大切にします。」

「では、門を動かします。」



ハリードさんが門の前で操作をする。
門が光り、シャルアさんの両腕のバングルが緑と青に輝き始めて、シャルアさんの体を包み込み...
次の瞬間、そこからシャルアさんの姿は消えていた。




「シャルアさん!」



シャルアさん、大丈夫だっただろうか。
無事に着いたかな?
お母さん達、びっくりしただろうな。



なんだか体が震える…



「シャキア様、どうかお元気で。」

「サンドラさん、シャルアさんをよろしくお願いします!」

サンドラさんは頷いたのと同時に、閃光に包まれた。



私は、その場に立ち尽くし…いつまでも、泣きじゃくっていた。
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