替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「どうだ?あれから何か思い出したのか?」

「いえ、それが全然……」

フェルナンさんには悪いけど、まだ言えない…本当のことは。
だから、私は嘘を吐くしかなかった。



「そうか、まぁ、焦ることはない。
そのうち、思い出せるだろう。」

「あ、あの…私、ここに置いてもらってご迷惑じゃありませんか?」

「そんなこと、気にすることはない。
私もたいしたことはしてやれないのだから。」



あぁ、やっぱりフェルナンさんって良い人だなぁ…
見た目が良くて、しかも性格も良いなんて、そんなの反則です。
なんだか、私、どんどんフェルナンさんに惹かれていってるような気がする。
今の私には、フェルナンさんしか頼れる人がいないし、100%恋愛感情ではないかもしれないけど…こんなに素敵な人なんだもん、誰だって好きになるよね。


逆に、フェルナンさんはきっと私のことなんて、何とも思ってないだろうけど…
って、私も今は恋愛に現を抜かしている場合じゃない。
私がこんなところに来た理由…私の『運命』を探らないといけないのに。
でも、どうすれば良いのか、私にはその手がかりさえわからなかった。
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