替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「これは……本当にここにあるんですか?
おばあさんはどうしてこの地図を…?」

「その前に、聞かせてくれ。
どうして、おまえさんはガザン王の剣を探しておるんじゃ?」

「それは……」



え?どういうことだろう?
ガザン王の剣は、お宝だから欲しいってわけじゃないのかな??



「ガザン王の剣はそれほど価値のあるものではない。
それに、あの剣は普通の剣とは違う。」

「……剣が認めた者にしか、剣を鞘から抜くことは出来ない。
つまり、使うことが出来ない。」

「やはり知っておったか…
ということは、おまえさんは……」



マリウスさんはゆっくりと頷いた。



どういうことなんだろう?
私にはマリウスさんの仕草の意味がわからない。



「本当に君は、ガザン王の末裔なのか?」



(えっ!?)

フェルナンさんの意外な言葉に、私はとにかく驚いた。
何?マリウスさんが、ガザン王の末裔…!?



「俺はそれが本当かどうかを知りたくて…
それで、ガザン王の剣を探してたんだ。
……おふくろが亡くなる時に言ったんだよ。
俺にはガザン王家の血が流れてるってな。
もちろん、家系図なんてないし、おふくろがなんでそんなことを知ってるのかもわからない。
おふくろは病弱だったし、父親は端からいなかった。
だから、俺は子供の頃から貧しい暮らしをして来た。
とても王家の血なんて信じられないけど…でも、知りたかったんだ。
本当のことが…」
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