替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする




「お母さんの言われたことは本当だったんだな。」

「そうだな…王家の血は途絶えたって聞いてたけど…
まだ絶えてなかったんだな。
自分でもまだなんか信じられないよ。」



私達は、その洞窟で夜を明かすことにした。
持って来たパンや干し肉を食べながら、私達はとても満ち足りた気持ちで会話をしていた。



「それは、ガザンの紋章なのか?」

「そうだ。
でも…まさか、これ…ニセモノじゃないだろうな…」

そう言って、マリウスさんは傍らの剣をみつめた。



「そんなことはないだろう。
あの眩い光…あれは、特別なものだと思う。」

「だよな。
だけど、本当に簡単に抜けたから…
ま、帰りに、タリムさんに報告に行けば、本物かどうかわかるかもしれないな。」

そう言うマリウスさんは、やっぱりなんとなく嬉しそうだった。



私は、疑ってはいないけど…
もしも、タリムさんがこれはガザン王の剣に間違いないと言ったとしたら…



マリウスさんはやっぱりガザンを再興するんだろうか?
でも、あんなにすっかり荒んでしまったあの国を立て直すことなんて、本当に出来るのかな?



あ…そう言えば、マリウスさんは血筋で言えばガザンの王様なんだ。



(王様……)



今までは、御伽話でしか知らなかった王様…
それが、こんなに身近にいるなんて…



あぁ、やっぱりまだ実感がわかない…!
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