替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
*
「おい、あれ……」
タリムさんの家を出て、またあの森を通っていた時…
私達は先日の男をみつけた。
あの時のことが思い出されて怖くなり、私は男から目を逸らした。
「これを……」
ガザン王の剣を私に押し付けると、マリウスさんは男に向かって駆け出した。
フェルナンさんもその後に続く。
二人共、何をする気なの?
私は、関わりたくなかったけれど、ひとりでいるのも心細いから、仕方なく同じように駆け出した。
男は、マリウスさん達に気付いて逃げ出そうとしたけれど、途中でつまづいて転び、二人に追いつかれてしまった。
「離せ!」
男は手足をめちゃめちゃに動かした。
「そう暴れるな!
俺達はあんたに危害を与えるつもりはない。」
「……え?」
「食料がないんだろう?
わけてやるよ。」
「ほ、本当か!?」
「嘘なんか吐かないさ。」
男は、ようやくおとなしくなった。
近くで見ると、意外にもまだ若い男だったけど、ずいぶんと痩せてやつれている感じだ。
もしかしたら、この森で長い間迷ってたのか迷ってたのかもしれない。
そう思うと確かに可哀想だとは思うのだけど…
「あっ!そ、それは…!」
男が私の持ってた剣を見て、目を大きく見開いた。
「おい、あれ……」
タリムさんの家を出て、またあの森を通っていた時…
私達は先日の男をみつけた。
あの時のことが思い出されて怖くなり、私は男から目を逸らした。
「これを……」
ガザン王の剣を私に押し付けると、マリウスさんは男に向かって駆け出した。
フェルナンさんもその後に続く。
二人共、何をする気なの?
私は、関わりたくなかったけれど、ひとりでいるのも心細いから、仕方なく同じように駆け出した。
男は、マリウスさん達に気付いて逃げ出そうとしたけれど、途中でつまづいて転び、二人に追いつかれてしまった。
「離せ!」
男は手足をめちゃめちゃに動かした。
「そう暴れるな!
俺達はあんたに危害を与えるつもりはない。」
「……え?」
「食料がないんだろう?
わけてやるよ。」
「ほ、本当か!?」
「嘘なんか吐かないさ。」
男は、ようやくおとなしくなった。
近くで見ると、意外にもまだ若い男だったけど、ずいぶんと痩せてやつれている感じだ。
もしかしたら、この森で長い間迷ってたのか迷ってたのかもしれない。
そう思うと確かに可哀想だとは思うのだけど…
「あっ!そ、それは…!」
男が私の持ってた剣を見て、目を大きく見開いた。