命の手紙
映画はコメディ映画だった。映画はあまり観ないが、なかなかおもしろい。

とてもおもしろいシーンで、灰原をふと見た時固まった。

灰原は泣いていた。笑いと一緒に出てきた涙ではない。無表情のまま、目から涙がこぼれていた。

「いい映画だったね〜。おもしろかった！」

映画が終わると、灰原はいつも通りだった。

俺は、泣いていた理由を聞けなかった。



夏休みが終わると、灰原は「読書の秋だ〜！やった〜」と言い俺に今まで以上にオススメの本や、自分が書いた小説を俺に渡すようになった。ちなみにまだまだ暑く、読書の秋とは言えない。

「絶対読んでね」

「はいはい、時間があったらな」

毎回同じような会話だが、俺はちゃんと読んでいる。オススメの本も灰原が書いた小説もどれもおもしろかった。

九月の終わりには、灰原の家に遊びにいくことになった。
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