命の手紙
冬が近くなると寒いので、灰原の家に遊びに行くことが多くなった。俺は遠慮したが灰原がいつも無理矢理家に連れて行った。
冬休みもたくさん遊んだ。水族館に行ったり(灰原は、フラフラ一人で歩いて行って何度かはぐれたが)、一緒に小説を書いたり(灰原が家族の前で発表会をした時は、本当に恥ずかしかった)、クリスマス会を灰原と弟と妹としたりもした。
冬休みが終わると、灰原は恋愛小説をよくオススメするようになった。灰原が書く小説も恋愛が多くなった。
「何で最近、恋愛ものが多いんだ?」
「それはもうすぐバレンタインだから!」
灰原が目を輝かせながら、言った。
「はぁ……」
恋愛なんて俺にとっては無縁な話だ。なのに心にあるこの気持ちは何だろう?
「安心したまえ!女子からモテないであろう光にも、私からとってもすてきなチョコをプレゼントしてあげる」
「余計なお世話だ!それにモテないって何で決めつけんだよ!!」
「う〜ん…何となく!」
「はあ?」
こんな時間も楽しくてしかたがない。時間が止まればいいと思ってしまった。