命の手紙
「おい!放せ!」

女は俺の手を引っ張り、柵から離れていく。

「おい!」

文句を言おうとした俺の視界が白くなる。女が白いタオルで俺の頭を拭いていたからだ。

苛立ちが募っていく。

「いい加減にーーー」

言いかけた俺の手に、女は一冊の本を押し付けた。

「これ、死ぬ前に読んでみて!きっと読んでからでも遅くはないよ!」

私は放課後ここにいつでもいるから、そう言って女は去っていった。



「おっ。来てくれたんだ」

あの日から一週間が経った。

俺は読み終わった本を返すために、会いたくはなかったが女に会いに来た。

「で?どうだった?」

女が目を輝かせる。
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