命の手紙
何も言えない俺の横で、灰原はノートや本を片付け、帰る支度をした。

「光が嫌だったら、もう私と関わらなくていいから」

そう言うと、灰原は屋上から去っていった。

残された俺は、町を見下ろしながらため息をついた。

まだ二回しか会っていない女の秘密を知ってしまった。



ギイッと屋上の扉が開いた。

「……来てくれたの?」

次の日、俺は授業が終わるとすぐに学校を飛び出した。

「まだ、俺が死のうとした理由を聞いてないだろ?」

「そういえば、そうだね」

灰原が呟く。
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