命の手紙
梅雨明けの空は気持ちいいくらい真っ青だ。

灰原は空を見上げる。俺はその横顔を見つめながら話した。

「俺、本当は別の高校に行きたかったんだ。私立の有名な進学校ーーーH高校に」

「えっ!?でも、あそこって偏差値高い学校じゃ……」

「テストや成績はいつだって一位だった」

「ムカつく!私、高校ギリギリで入れたのに〜!!」

灰原が頰を膨らませる。その表情を見ていると少し心が落ち着く。ふう、とため息を一つついて俺は話を続けた。

「絶対入れると思ったんだ。でも受からなかった。それが悔しくて苦しかった…!」

入学式が憂鬱だった。部活見学も体育祭も何も楽しくなかった。

「最初からがんばれなかった。時間がどれだけ経っても、自分を受け入れられなかった。だからーーー」
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