半人前霊能者シリーズ ② 紡がれる力
公園に近づくにつれ、不穏な空気を体で感じた。それは今までに感じたことのない、イヤな雰囲気だった。
その雰囲気に体が飲まれたせいで、公園前で足がぴたっと止まった。
「おやおや、ビビリ発動したのかい優斗。情けないヤツだね、ホント」
「だって……」
「ま、本当は私だって帰りたいさ。お前同様に霊力が回復していない状態で、こんな所にやって来ちまったんだからね」
ウインクしながら腰に手を当てて雄弁に語った母さんに、呆然とするしかない。
「もしかして、俺に移したせいで……」
それなのにどうして、そんな風に自信満々な顔していられるんだ、この人は――。
「お前は何をしに、ここに来たんだい?」
「……博仁くんを、助けたいって思ったから」
「助けたいという気持ちは足を止めてしまうような、そんな軽いものだったのかい?」
その言葉に、きゅっと下唇を噛みしめた。
怖いのもあったけど、軽い気持ちで来たんじゃない。助けたいと強く思ったんだ。
俺の力を間近で見て、クラスメート以外に褒めてくれた大事な人だから。いろいろ教えてくれた、霊能者の先輩でもあるんだ。だからこそ助けなきゃいけないのに。
「うん、顔つきが変わったね。それじゃあ腹をくくったところで、役割分担しようじゃないか」
「役割分担?」
「今の私らは、ふたりで一人前だと考えな。それくらい相手が強力だってことなんだ、油断するんじゃないよ。お前は防御に徹すること」
いきなり、やったことのない指示をされて、慌てふためくしかない。
「ぼっ、防御って一体、どうやってすればいいんだよ?」
「一度見せただろ、例の炎を防いだ結界をさ」
確かに見たけども、どうやってアレを作ればいいんだって話をしてるのに。やっぱり母さんは、教え方が下手だ……。
「しかも、自分だけを防御するワケじゃない。私のことも護ってもらわなきゃ、攻撃に徹することができないからね」
「俺が母さんを護る?」
「そうさ。そうすれば私の霊力を全力で相手にたたきつけることができるんだから、当然の策だろ?」
確かに――そうすれば間違いなく除霊が成功する。問題は俺がちゃんと、護れるかどうかにかかっていることだ。
「助けたいとか護りたいっていう強い気持ちがあれば、どんなものにも負けないよ。大丈夫さ優斗」
母さんが言ってくれた言葉に、博仁くんが教えてくれた言葉を重ねる。
――そうだ、想いを念じる力――
「ビビってる暇はないよ。早くしないと、あのコが飲まれてしまうからね」
「分かった、何とかやってみるよ!」
博仁くんの気配は、まだ感じられる。きっと大丈夫だ。
両手の拳をぎゅっと握りしめ、震える足を前に進ませながら勇んで公園の中に入って行った。
その雰囲気に体が飲まれたせいで、公園前で足がぴたっと止まった。
「おやおや、ビビリ発動したのかい優斗。情けないヤツだね、ホント」
「だって……」
「ま、本当は私だって帰りたいさ。お前同様に霊力が回復していない状態で、こんな所にやって来ちまったんだからね」
ウインクしながら腰に手を当てて雄弁に語った母さんに、呆然とするしかない。
「もしかして、俺に移したせいで……」
それなのにどうして、そんな風に自信満々な顔していられるんだ、この人は――。
「お前は何をしに、ここに来たんだい?」
「……博仁くんを、助けたいって思ったから」
「助けたいという気持ちは足を止めてしまうような、そんな軽いものだったのかい?」
その言葉に、きゅっと下唇を噛みしめた。
怖いのもあったけど、軽い気持ちで来たんじゃない。助けたいと強く思ったんだ。
俺の力を間近で見て、クラスメート以外に褒めてくれた大事な人だから。いろいろ教えてくれた、霊能者の先輩でもあるんだ。だからこそ助けなきゃいけないのに。
「うん、顔つきが変わったね。それじゃあ腹をくくったところで、役割分担しようじゃないか」
「役割分担?」
「今の私らは、ふたりで一人前だと考えな。それくらい相手が強力だってことなんだ、油断するんじゃないよ。お前は防御に徹すること」
いきなり、やったことのない指示をされて、慌てふためくしかない。
「ぼっ、防御って一体、どうやってすればいいんだよ?」
「一度見せただろ、例の炎を防いだ結界をさ」
確かに見たけども、どうやってアレを作ればいいんだって話をしてるのに。やっぱり母さんは、教え方が下手だ……。
「しかも、自分だけを防御するワケじゃない。私のことも護ってもらわなきゃ、攻撃に徹することができないからね」
「俺が母さんを護る?」
「そうさ。そうすれば私の霊力を全力で相手にたたきつけることができるんだから、当然の策だろ?」
確かに――そうすれば間違いなく除霊が成功する。問題は俺がちゃんと、護れるかどうかにかかっていることだ。
「助けたいとか護りたいっていう強い気持ちがあれば、どんなものにも負けないよ。大丈夫さ優斗」
母さんが言ってくれた言葉に、博仁くんが教えてくれた言葉を重ねる。
――そうだ、想いを念じる力――
「ビビってる暇はないよ。早くしないと、あのコが飲まれてしまうからね」
「分かった、何とかやってみるよ!」
博仁くんの気配は、まだ感じられる。きっと大丈夫だ。
両手の拳をぎゅっと握りしめ、震える足を前に進ませながら勇んで公園の中に入って行った。