今日もあの太陽に手を伸ばしてみる

第1章

出会い

出会いは突然にやって来る。


そして、その出会いには案外気付かないものだ。




春。


桜が満開に咲いていて、外は少しずつ暖かくなってくるこの時期。


小鳥が枝に止まっていて、空は気持ちいいぐらいに晴れている。





きっかけは気軽な気持ちだった。





高校の入学式を明日に控え、家にいてもうずうずして落ち着かない私は、家の近くにある市営の公園へ行くことにした。


今の時期は一面に植えられた桜が満開に咲いていて、綺麗と有名な少し大きな公園。



「行って来まーす」



私はお母さんにいい加減に出かける報告して家を出た。





いつもの様に耳にイヤホンを当て、スマホのアプリから最近のお気に入りの曲を流しながら足を進める。


風は私の頬を撫でていく。


太陽は眩しく輝いていて、空には雲ひとつない。


こんな日には歌を口ずさみたくなる。





数分歩くと公園は見えて来た。