今日もあの太陽に手を伸ばしてみる
「チョコレート好きですか?」

「え?」


彼は勢いよく私に尋ねた。

目の前にいる彼は絶対に私の歌っている姿を見ていたはずなのに、“チョコレート好きですか?”は予想外だった。

突然尋ねられて私は何秒か混乱に陥った。


チョコレート。嫌いじゃないけど今の状況で「はい。」って言っていいものなのかな?なんだかそれきまずくない?まず初対面なのに?


「ちょ、チョコレート・・・ですか?」


全然話に追いついていない私はつい聞き返してしまった。


「は、はい!イチゴ味のチョコ。俺ひとつだけ持ってるんだけど」


そう言って彼は自分のポケットを探ってチョコをひとつ手のひらに乗せた。


「はい。」


そう言って私にチョコの乗った手のひらを笑顔で差し出した。

本当にポケットからチョコが出て来たことに少し驚きながら、私はゆっくりと手のひらに乗っている可愛らしい小さなチョコを受け取った。


「ありがとうございます。」





“おかしな人”





チョコを受け取って最初に思った事だった。


これを第一印象と言うのだろうか。


そうだとすると私が思うに彼はおかしな人という一択しか無い。


そう思って来るとなんだかおかしく思えて来てしまう。



「・・・ぷっハハッ!」


「⁉︎」



少し沈黙があった後私はつい吹き出してしまった。
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