大天使に聖なる口づけを
眼下に広がる街は闇に包まれていた。
その所々に蝋燭やランプの明かりに照らされた小さな窓が浮かび上がる。
ポツリポツリとした光が散らばる街は、まるで夜空のようで、
「綺麗だね」
と呟いて隣を見たエミリアは、そのままアウレディオの横顔から目が離せなくなった。
(どうしてこんなに、どこにいても何をしてても絵になるんだろう……)
うす明かりの中、アウレディオは、怪しいくらいに綺麗だった。
淡い色の髪は、日光を浴びている時よりこうして月の光の中のほうが、よりいっそう不思議な色に輝く。
蒼い瞳も、夜の色が重ねられて、空に輝く星よりも神秘的に煌めく。
(もしもディオが女の子だったなら、隣に並ぶのはかなり辛かったと思うんだよね……)
しみじみと頷くエミリアに向かって、アウレディオはふいに語りかけた。
「本当はこの間、リリーナに聞いたんだ。さっき王子が言ってた時間を止めるとかって話……あれって『天使の時間泥棒』って言うんだってさ」
「え? ……お母さん? はぁっ!? 『天使の時間泥棒』???」
あまりの驚きに、エミリアは開いた口が塞がらなかった。
そんな表情を見てアウレディオは、瞳を細めて薄く笑う。
「そう。特別に気持ちをこめて大声を出すことで、しばらくの間、時間を止められるんだそうだ。自分と誰かのために……ある程度の天使だったら誰でもできることだって……」
「ちょ、ちょっと待って。でも私、天使じゃなくて人間だよ……?」
エミリアの驚きは止まらない。
その所々に蝋燭やランプの明かりに照らされた小さな窓が浮かび上がる。
ポツリポツリとした光が散らばる街は、まるで夜空のようで、
「綺麗だね」
と呟いて隣を見たエミリアは、そのままアウレディオの横顔から目が離せなくなった。
(どうしてこんなに、どこにいても何をしてても絵になるんだろう……)
うす明かりの中、アウレディオは、怪しいくらいに綺麗だった。
淡い色の髪は、日光を浴びている時よりこうして月の光の中のほうが、よりいっそう不思議な色に輝く。
蒼い瞳も、夜の色が重ねられて、空に輝く星よりも神秘的に煌めく。
(もしもディオが女の子だったなら、隣に並ぶのはかなり辛かったと思うんだよね……)
しみじみと頷くエミリアに向かって、アウレディオはふいに語りかけた。
「本当はこの間、リリーナに聞いたんだ。さっき王子が言ってた時間を止めるとかって話……あれって『天使の時間泥棒』って言うんだってさ」
「え? ……お母さん? はぁっ!? 『天使の時間泥棒』???」
あまりの驚きに、エミリアは開いた口が塞がらなかった。
そんな表情を見てアウレディオは、瞳を細めて薄く笑う。
「そう。特別に気持ちをこめて大声を出すことで、しばらくの間、時間を止められるんだそうだ。自分と誰かのために……ある程度の天使だったら誰でもできることだって……」
「ちょ、ちょっと待って。でも私、天使じゃなくて人間だよ……?」
エミリアの驚きは止まらない。