大天使に聖なる口づけを
次の日もアルフレッドは、朝からエミリアを迎えにきた。
前日と同じように話もしないで、学校までの道のりをただ一緒に歩く。
もうすぐ学校が見えるという頃になって、前から大きな犬がやって来て、エミリアは歩みを止めた。
犬は苦手だ。
通学路で出会ったら、いつもアウレディオのうしろに隠れてやり過ごすことにしていた。
けれどそのアウレディオは、今ここにはいない。
(ディオ……)
立ち竦むエミリアをアルフレッドがふり返った。
「犬が……」
涙声で言いかけるエミリアに、黙ったまま手を伸ばす。
エミリアの小さなてのひらをギュッと握りしめて、グイグイ引っ張って、早足で歩き続ける。
あっという間に、大きな犬の横は通り抜けてしまった。
エミリアは横に並んだアルフレッドの顔をちょっと見上げてみた。
長い前髪の下からエミリアを見ていた紫色の瞳は、思っていたよりずっと優しい色をしていて、エミリアはなんだかドキドキした。
前日と同じように話もしないで、学校までの道のりをただ一緒に歩く。
もうすぐ学校が見えるという頃になって、前から大きな犬がやって来て、エミリアは歩みを止めた。
犬は苦手だ。
通学路で出会ったら、いつもアウレディオのうしろに隠れてやり過ごすことにしていた。
けれどそのアウレディオは、今ここにはいない。
(ディオ……)
立ち竦むエミリアをアルフレッドがふり返った。
「犬が……」
涙声で言いかけるエミリアに、黙ったまま手を伸ばす。
エミリアの小さなてのひらをギュッと握りしめて、グイグイ引っ張って、早足で歩き続ける。
あっという間に、大きな犬の横は通り抜けてしまった。
エミリアは横に並んだアルフレッドの顔をちょっと見上げてみた。
長い前髪の下からエミリアを見ていた紫色の瞳は、思っていたよりずっと優しい色をしていて、エミリアはなんだかドキドキした。