大天使に聖なる口づけを
「そう。四歳ぐらいだったかな……? まだじいちゃんが生きてたから。一緒にお風呂に入ってて、お前が言いだしたんだ。ディオの背中にはお星さまがあるって。じいちゃんも「そう言えばそう見えるね」なんて言ってたから……たぶんまちがいないだろう。この間偶然思い出したんだけどさ……」

あまりのことにエミリアは開いた口が塞がらなかった。
「い、一緒にお風呂って……!」

「そこかよ! 小さな頃の話だろ」
こともなげに言って除けるアウレディオに、エミリアは言いよどむ。

「それはそうだけど……私、全然覚えてないよ……!」
再び頭を抱えたいような気分だった。

アウレディオは軽くため息を吐いて、何かを決意したかのように上着を脱ぎ始める。

「ち、ちょっと! 何やってんのディオ!」
真っ赤になって飛び上がったエミリアに、

「今さらだろ」
と脱ぎ捨てたシャツを渡し、白い背中を向けた。

くっきりと浮き出たアウレディオの肩甲骨の間には、確かに赤い星のような痣があった。
泣きたいような気持ちで俯いたエミリアに、アウレディオは脱いだ時と同じように手早く服を着ながら語り続ける。

「たぶんリリーナは知ってたと思う。知っててお前がどうするか、俺がどうするかを見てたんじゃないか? リリーナ自身がミカエルを捜しているところなんて、見たことないだろ? 最初っから、リリーナの仕事は俺の監視だったんだよ」

確かにそう考えると全てに納得がいった。
納得はいったけれど、エミリアの気持ちはついていけない。
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