大天使に聖なる口づけを
7
家に帰り、持ち帰った仕事をしていても、母の手伝いをして夕食の準備をしていても、ともすれば涙が零れ落ちそうだった。
母に余計な心配をかけないように、せいいっぱい元気なふりをしながら、エミリアは、
(そういえば、私っていつもこうだ……)
と気がついた。
周りに心配をかけたくないから。
可哀想だなんて思われたくないから。
せいいっぱい肩肘を張って生きてきた。
(そんな私が笑ったり怒ったり……いつだって本当の感情をぶつけられる相手がディオだったんだ……)
考えるとまた泣きだしそうになってしまうので、エミリアは慌てて首を振った。
もう泣かないと決めた。
アウレディオはエミリアがどんなに止めても、絶対に自分で決めたことをやり通す。
エミリアは誰よりもそのことをよく知っている。
だからアウレディオはアウレディオのやりたいようにすればいい。
エミリアもエミリアのやりたいようにする。
凄い形相で野菜を切っていたエミリアに、母がふんわりとした笑顔で声をかけた。
「エミリア。そろそろアウレディオを呼んできたら?」
エミリアは、「うん」と頷いてエプロンを外し、母に向き直った。
大きく息を吸いこんで、あらかじめ用意していたセリフを口にする。
母に余計な心配をかけないように、せいいっぱい元気なふりをしながら、エミリアは、
(そういえば、私っていつもこうだ……)
と気がついた。
周りに心配をかけたくないから。
可哀想だなんて思われたくないから。
せいいっぱい肩肘を張って生きてきた。
(そんな私が笑ったり怒ったり……いつだって本当の感情をぶつけられる相手がディオだったんだ……)
考えるとまた泣きだしそうになってしまうので、エミリアは慌てて首を振った。
もう泣かないと決めた。
アウレディオはエミリアがどんなに止めても、絶対に自分で決めたことをやり通す。
エミリアは誰よりもそのことをよく知っている。
だからアウレディオはアウレディオのやりたいようにすればいい。
エミリアもエミリアのやりたいようにする。
凄い形相で野菜を切っていたエミリアに、母がふんわりとした笑顔で声をかけた。
「エミリア。そろそろアウレディオを呼んできたら?」
エミリアは、「うん」と頷いてエプロンを外し、母に向き直った。
大きく息を吸いこんで、あらかじめ用意していたセリフを口にする。