大天使に聖なる口づけを
あたりは夜の闇だというのに、エミリアの周りだけが昼間のように鮮やかに照らし出される、常軌を逸した状況。
もう驚きの声も出ないエミリアとアウレディオの上に、光の中から現れた人物がふわりと舞い降りた。
「お母さん……?」
掠れた声で呼びかけた娘に凛とした視線を向けたその人は、いつもの柔らかな印象からは想像もつかない威厳に満ちていた。
背中に大きな白い翼を生やし、頭の上には輝く金色のリングを戴く。
白いズルズルとした天使らしい衣装は、エミリアが前に想像してみた数倍、良く似あっていた。
「いったいどうしたの?」
間の抜けた問いかけをしてくる娘に居を正すようにコホンと咳払いすると、母はあでやかに笑った。
「エミリア。ミカエルの覚醒に力を貸してくれてありがとう。そしてあなた自身も覚醒おめでとう。私は大天使ガブリエル。私の娘であるあなたを、ガブリエルの名を継ぐ者として正式に認めます」
「「は?」」
エミリアとアウレディオの発した間の抜けた声が、ピタリと重なった。
母はとっておきの決めゼリフがうまく決まらなかったことが不満だったらしく、少し残念そうに口を尖らす。
「だから……! 私は大天使で、エミリアもそのあとを継ぐ者で……アウレディオもそうなの!」
あまりにも要領を得ない説明に、アウレディオはふうっとため息を吐いた。
額に手を当てて、今手に入れたばかりの重要な情報を、順を追って一つ一つ整理する。
もう驚きの声も出ないエミリアとアウレディオの上に、光の中から現れた人物がふわりと舞い降りた。
「お母さん……?」
掠れた声で呼びかけた娘に凛とした視線を向けたその人は、いつもの柔らかな印象からは想像もつかない威厳に満ちていた。
背中に大きな白い翼を生やし、頭の上には輝く金色のリングを戴く。
白いズルズルとした天使らしい衣装は、エミリアが前に想像してみた数倍、良く似あっていた。
「いったいどうしたの?」
間の抜けた問いかけをしてくる娘に居を正すようにコホンと咳払いすると、母はあでやかに笑った。
「エミリア。ミカエルの覚醒に力を貸してくれてありがとう。そしてあなた自身も覚醒おめでとう。私は大天使ガブリエル。私の娘であるあなたを、ガブリエルの名を継ぐ者として正式に認めます」
「「は?」」
エミリアとアウレディオの発した間の抜けた声が、ピタリと重なった。
母はとっておきの決めゼリフがうまく決まらなかったことが不満だったらしく、少し残念そうに口を尖らす。
「だから……! 私は大天使で、エミリアもそのあとを継ぐ者で……アウレディオもそうなの!」
あまりにも要領を得ない説明に、アウレディオはふうっとため息を吐いた。
額に手を当てて、今手に入れたばかりの重要な情報を、順を追って一つ一つ整理する。