大天使に聖なる口づけを
「それもこれも、もとはといえば全部お母さんのせいじゃない! お母さんのためにって、あんなにがんばった私はいったいなんだったの? しかもこんな格好になっちゃったら今までどおりになんて、生活できるわけないでしょう!」
「あ、それは大丈夫。二人とも、私が元の姿に戻してあげるから」
途中でそんな注釈を入れられても、一度ついてしまった怒りの火に油を注ぐだけである。
「問題はそこじゃないでしょう! まったくもう! もうっ!」
言いたいだけ言って俯いたエミリアの頭を、
「もう気が済んだか」
とアウレディオが胸に抱き寄せた。
やっぱり誰よりも自分のことをわかってくれるその腕に抱かれた途端、堰を切ったようにエミリアの目から涙が溢れ出した。
この人を失わなくて済んでよかったと、本当に心からホッとした。
「エミリア……?」
恐る恐る声をかけてくる母にも、しょうがないから涙で滲んだ目を向けてやる。
「ごめんね。でもアウレディオとはずっと一緒だからね。人間界に居ても、この先天界に行っても……」
「そんなところ行かないわよ!」
即座に言い返したエミリアと母との間に体を割りこませ、自らで防護壁を築きながら、アウレディオはため息を吐く。
「リリーナ……とりあえずまだしばらくは、先のことは話さないでおいてくれるかな……?」
「しばらじゃないわよ! いつまで待ったって、私はそんなところ、絶対に行かないわ!」
「はいはい」
宥めるようにエミリアの頭を撫でながら、アウレディオは母にそっと目配せした。
余裕たっぷりのその笑顔には、いつかはエミリアの意地だってほだされてしまうだろうと母は思った。
きっと――。
「あ、それは大丈夫。二人とも、私が元の姿に戻してあげるから」
途中でそんな注釈を入れられても、一度ついてしまった怒りの火に油を注ぐだけである。
「問題はそこじゃないでしょう! まったくもう! もうっ!」
言いたいだけ言って俯いたエミリアの頭を、
「もう気が済んだか」
とアウレディオが胸に抱き寄せた。
やっぱり誰よりも自分のことをわかってくれるその腕に抱かれた途端、堰を切ったようにエミリアの目から涙が溢れ出した。
この人を失わなくて済んでよかったと、本当に心からホッとした。
「エミリア……?」
恐る恐る声をかけてくる母にも、しょうがないから涙で滲んだ目を向けてやる。
「ごめんね。でもアウレディオとはずっと一緒だからね。人間界に居ても、この先天界に行っても……」
「そんなところ行かないわよ!」
即座に言い返したエミリアと母との間に体を割りこませ、自らで防護壁を築きながら、アウレディオはため息を吐く。
「リリーナ……とりあえずまだしばらくは、先のことは話さないでおいてくれるかな……?」
「しばらじゃないわよ! いつまで待ったって、私はそんなところ、絶対に行かないわ!」
「はいはい」
宥めるようにエミリアの頭を撫でながら、アウレディオは母にそっと目配せした。
余裕たっぷりのその笑顔には、いつかはエミリアの意地だってほだされてしまうだろうと母は思った。
きっと――。