大天使に聖なる口づけを
その背中がまったく見えなくなってから、フィオナは呆然と座りこむエミリアに、逆に問いかけてきた。
「ねえエミリア……今日は自分からお菓子を作ろうって思ったの?」
唐突な質問にエミリアは首を傾げた。
ぶるぶると首を横に振りながら、聞かれたことに対して否定の意思を示す。
「ううん。お母さんが、作っていったら、って言うから作ったんだけど……」
「えっ? ……アウレディオじゃないの?」
「どうしてディオ?」
「いいえ、そうじゃないならいいの……私も、ひょっとしてって思っただけだから……」
いつもは歯に衣着せぬフィオナの言葉が、なんとも歯切れが悪い。
アウレディオもフィオナも、何かを知っているふうなのにエミリアには教えてくれない。
それらのことに、エミリアは小さな苛立ちと疎外感を感じた。
「ねぇ、私にもわかるように説明してよ」
強めの口調で懇願したエミリアに、フィオナは、
「あくまでもこれは私の考えよ……」
と前置きして、ようやく説明を始めてくれた。
しかしそれは、あまりにも信じられないような内容だった。
「ねえエミリア……今日は自分からお菓子を作ろうって思ったの?」
唐突な質問にエミリアは首を傾げた。
ぶるぶると首を横に振りながら、聞かれたことに対して否定の意思を示す。
「ううん。お母さんが、作っていったら、って言うから作ったんだけど……」
「えっ? ……アウレディオじゃないの?」
「どうしてディオ?」
「いいえ、そうじゃないならいいの……私も、ひょっとしてって思っただけだから……」
いつもは歯に衣着せぬフィオナの言葉が、なんとも歯切れが悪い。
アウレディオもフィオナも、何かを知っているふうなのにエミリアには教えてくれない。
それらのことに、エミリアは小さな苛立ちと疎外感を感じた。
「ねぇ、私にもわかるように説明してよ」
強めの口調で懇願したエミリアに、フィオナは、
「あくまでもこれは私の考えよ……」
と前置きして、ようやく説明を始めてくれた。
しかしそれは、あまりにも信じられないような内容だった。