大天使に聖なる口づけを
まだ三人が学校に通い始めたばかりの頃、このブランコにエミリアとフィオナの二人が座って、アウレディオにうしろから押してもらったことがあった。
しばらくしたら代わるという約束だったが、
「エミリアまだ? フィオナまだ?」
アウレディオの問いかけに、二人はいつまでたっても、
「もういいよ」
とは言ってあげなかった。
小さくて素直なアウレディオが、必死な顔をして押してくれるのが可愛くて嬉しくて、二人は顔を見あわせてころころと笑いながら、何度も何度も、「まだダメよ」と言い続けた。
それは今では懐かしい色になった、優しくて温かい大切な思い出。
ふと目があったフィオナも、なんだか同じことを思い出しているような気がして、エミリアは笑い含みに問いかけた。
「ねぇディオ。あのブランコに乗ってもいい?」
アウレディオはきっぱりと首を横に振った。
「お前たちはいつまでも俺に押させるから嫌だ」
エミリアは思わず吹き出した。
わざとそう答えたはずのアウレディオも、黙って二人のやり取りを聞いていたフィオナまでも、いつになく大きな声で笑っている。
しばらくしたら代わるという約束だったが、
「エミリアまだ? フィオナまだ?」
アウレディオの問いかけに、二人はいつまでたっても、
「もういいよ」
とは言ってあげなかった。
小さくて素直なアウレディオが、必死な顔をして押してくれるのが可愛くて嬉しくて、二人は顔を見あわせてころころと笑いながら、何度も何度も、「まだダメよ」と言い続けた。
それは今では懐かしい色になった、優しくて温かい大切な思い出。
ふと目があったフィオナも、なんだか同じことを思い出しているような気がして、エミリアは笑い含みに問いかけた。
「ねぇディオ。あのブランコに乗ってもいい?」
アウレディオはきっぱりと首を横に振った。
「お前たちはいつまでも俺に押させるから嫌だ」
エミリアは思わず吹き出した。
わざとそう答えたはずのアウレディオも、黙って二人のやり取りを聞いていたフィオナまでも、いつになく大きな声で笑っている。