You are not alone.



 青年は面倒くさそうな顔をするのかと思いきや、食事の手を止めて嫌な顔一つ見せずに目を合わせてくれた。


「君、新入生だよね? 行こう、案内してあげる」





 青年の足取りは流石は三年生というもので慣れていた。

 バリ島や韓国の家屋、タイのサーラー(休憩所)、ベトナムの港町。徐々に人が賑わってきて、異文化同士が交流し合う空間が完成する。

 日本語が聞こえてきて、英語のような言語が聞こえてきて、知らない言語が聞こえてくる。

 それらを耳にして友利は寂しくなった。自分は彼らの交流に加わることが出来ないからだ。



「誰だって最初は言葉がわからないよ」



 友利を心を察した青年は優しい声色で言った。



「日本人だって生まれたときは日本語がわからない。でも暮らしている内に自然とわかるようになるんだ。君は日本語以外の言語をまだ聞き慣れていないだけ。この大学で過ごす内に自然と慣れるよ」



 青年は足を止めて、友利の方を振り返る。



「ここは海外のような大学なんだから」









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