You are not alone.



 それから夕斗はアドバイザーとして8号館にきた友利の話し相手になることが多かった。問題すぎる友利の英語力を上げてやろうと一時英語で話しかけたときがあったが、そうすると友利は話さなくなってしまったため今は日本語でコミュニケーションをとっている。


 この先授業について行けなくなり、辞めたりしないだろうかと純粋に心配になった。





「……この二限目は授業ないんだっけ?」

「自習という名の授業があります。でなければここに来てませんよ」

「そうか、なら大丈夫か」

「? 先生?」


 夕斗は友利の腕を掴むと、そのまま引っ張って立ち上がらせた。


「ちょっ……! 待って!」


 大人しく連れられるがままになることはなく、友利は踏ん張って夕斗を止める。


「荷物くらいまとめさせてよ!」


 教科書の盗難だって耳にする。貴重品の管理はもちろんのこと、大事な勉強道具をこの机の上に放置することなど友利には出来なかった。

 気持ちがわからないでもない夕斗は大人しく友利を待った。本人に逃げる気はなさそうだ。


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