You are not alone.
MULK
夕斗に連れられてやってきたのは、7号館2階のMULK。その建物の中には様々な国の町並みが広がっている。国々の建物が再現されていて、海外留学を体験出来る空間だ。
中国の庭園で足を止めた夕斗は、座って一人でご飯を食べている青年に声をかけた。
「よっ、人気者! モテる男は辛いね」
その声は楽しそうなものだ。
「またあなたですか関谷先生……」
「コイツ、昼休みはゆっくり勉強しながら飯食いたがるんだけど、色んな奴に優しくするから人気者になっちまってなかなか一人になれなかったんだよ。んで、昼休み始まって直ぐなら、ここはあまり人が来ないって教えてやったわけ。それから感謝されるは拝まれるわ……すっかり仲良しさんになったんだよ俺達」
「その割にはウザがられてません? 物凄く睨まれてますよ先生……」
前者はともかく、後者は先生の作り話だと友利は思った。