あの夏に見たあの町で
来賓の対応は顔見知りだったり、エリアの担当者がするのが習わしになっていて、国内からのお客様が殆どなので、海外組は顔見知りのお客様に挨拶する程度
「お、SKBの榊原社長とご令嬢だ」
立食パーティー形式に準備された会場の隅で待機していると、隣にいた金井さんが顔見知りを見つけた
正式にはSKBツーリスト株式会社で、うちの会社もお世話になっている旅行会社
そこの社長とご令嬢
ご令嬢は確か20代前半だったはず
「挨拶だけ行っとくか」
私は面識はなかったけど、金井さんに「行くぞ」と連れられる
広報部の課長に会場内の中の方に案内されたSKBの社長に声を掛け、久しぶりに会う挨拶をし話を始める金井さん
私は金井さんの斜め後ろで様子を伺う
同じように父である榊原社長の斜め後ろにいるご令嬢と目が合った
淡いピンクのドレスを纏った彼女は華やかでとても可愛らしく、私に笑を向ける
私も微笑み返すと、金井さんが榊原社長に私の紹介を始めた
「こちら今の部下の高山です。」
紹介を受け、「高山ありすです。よろしくお願い致します」と名刺を交換する
隣のご令嬢のお顔が一瞬だけ曇り、また笑顔に戻る