あの夏に見たあの町で
公園内に向けて歩き始めた専務の後ろをついていく
えーと...専務の特別な場所ということは、専務もこの町をよく知っている?
私と新の地元をよく知っている新にそっくりな専務...もしかして...
新からも新のお母さんからも新に兄弟がいるなんて聞いたことはないけれど...
“どうしてここを?”
混乱する頭にどう質問したらいいかわからず、曖昧な聞き方になってしまった
専務は社長の孫なわけだけど、社長の子ども、つまり専務のご両親については聞いたことがない
生きてるのかさえ...
“やっぱり覚えてねぇか”
淋しそうに笑い、公園の端にある大きな木に触れる
あの夢に出てくる木
“まぁまずは、お前が知りたいであろう結論から言う。新は俺の双子の兄だ”
固まる私を見て苦笑し、木の陰にあるベンチに腰を下ろす
隣に座るよう促され、鈍い足をなんとか動かして指定された場所に座る
専務が新の双子の弟?
どうして
どうして新は何も言ってくれなかったの?
どうして専務は私と新が関係があることを知ってるの?
答えのない問を頭の中でする