あの夏に見たあの町で
「ほい、カナダ土産」
そう言って樹の手に渡したのはド派手な靴下
受け取って固まる樹
「心配しなくてもタグも切ってない新品だ」
多分言いたいことは違うが、補足を入れる
「なんで悠貴もお前もカナダの土産に靴下なんだよ...しかもこんなド派手な」
溜め息を吐きながら肩を落とす樹
「何言ってんだ、今、カナダ土産と言えばド派手な靴下だろ。悠貴とサイズ違いで買ったからお揃いで使えよ?」
ポンと樹の肩を叩き、「じゃあ、また披露宴でな」とその場を離れる
よく覚えてない奴らから久しぶりと声をかけられるのを適当に返しながら、悠貴を探す
バルコニーに続く大きな窓の近くで悠貴を見つけると同時に、後ろから面倒な人に「朔くん、久しぶりだね」と声をかけられた
見つかる前に退散しようと思っていたのに...
顔には笑顔を貼り付けて「お久しぶりです、榊原社長。この度はおめでとうございます。」と振り返った
あぁやっぱり...
樹の父親である榊原社長の隣には樹の妹の美玲
華やかに飾られた姿は一目でどこぞのご令嬢とわかる