あの夏に見たあの町で
デスクの上にエアメールが置いてあるのを見つけ手に取った
差出人を見るとジジイの名前
ジジイが送ったと言っていたのはこれのことか?
封を開け中身を取り出すと、『辞令』と書かれた紙が二枚と『就任式日程』と書かれたメモ用紙が一枚
メモ用紙に走り書きの詳細って...秘書の仕事を増やさんとする意志だけは素晴らしいけどな...
とりあえず、『戻ってこい』ってジジイは言ったよな
メモ用紙の詳細は確認せずにそれを持ったまま、先に出勤してフロントに出ていた悠貴を呼びに行った
「悠貴!日本に帰る日が決まったぞ」
現地のスタッフもいるので、敢えて日本語で話す
「本当?いつ?」
悠貴と共に送られてきたメモ用紙を確認する
「...あと一ヶ月もないな...」
ここでやらなくてはいけないことはまだ山程ある
悠貴と顔を見合わせる
ここでの仕事はキチンとやってから行きたいと言う気持ちは同じらしい
「急げっ」と慌てて仕事に取り掛かる
あと一ヶ月弱、全てを終えて堂々と帰りたい
この日から帰る日を楽しみに、俺と悠貴の仕事は急ピッチで進んだ
早く会って確かめたい
彼女の今と迷走する俺の気持ち