あの夏に見たあの町で



ただ、俺の好みではない




そういうやり方で今まで何でも与えられてきたのだろう




俺の情報網舐めんな...と言いたいところだが、『あーちゃん』がうちの会社にいることを6年も知らなかったのだからあまり言えない





「申し訳ございません、明日は出張で早朝に出なくては行けないんです」



そう言って今度こそその場を離れる




背中で「朝、少しでもいいのでお願いします」と聞こえたが、届いていない振りをした







「明日の朝、本当に来るかもよ?」



悠貴の言葉に溜息が出る




「俺は出張に行くから対応よろしく」



面倒事を押し付けられて、悠貴の顔が引き攣る




あんなご令嬢に邪魔されてたまるかよ












翌日




彼女が何時に出勤してくるかわからなかったので、早めに会社に行った





彼女の担当エリアの島の空いているデスクで自分のパソコンを開き、メールをチェックする




自分宛のメールは後で悠貴に返事をさせるとして、ありすに出張を断られないようにフランス語で来ていたメールを片っ端から返していった











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