あの夏に見たあの町で
メールを返し始めてすぐに悠貴がやってきた
「おはよう、今日やっておくことは?」
悠貴には出勤時間もここでメール処理することも言ってなかったのに、来るのが早い
「おはよ、今日やるのは俺宛のメール処理とグアムの状況チェックくらいか?あ、あとご令嬢の対応もな」
メールの返信を打ち込みながら、やるべき事を思い浮かべる
悠貴は「本当に俺が対応するの?」と嫌そうな声を出す
「他に任せられるやついねぇだろ。適当に追い払ってくれ」
「はいはい」と溜息を吐いて渋々了承する
「あと、ここのリーダーの金井にも高山ありす連れてくって断っといて」
と言う俺の言葉に「まだ言ってなかったのかよ」と笑いを零す
メールを一通り返信を終えるとちょうど悠貴から「彼女がきたよ」と耳打ちされ、入口の方をチラリと見る
俺がいることが疑問なのか、入口付近で止まったまま動かない
パソコンを閉じて立ち上がりながら「これ後で上に持ってって」と悠貴に指示をして、微動だにしない彼女に歩み寄る
「高山ありす」と名前を呼べば、ハッとして小さく挨拶をしてきた