あの夏に見たあの町で


“えーと...新くんの筈はないから朔くんよね?”




俺がフランス語を話せることは知る筈もないので、ありすに言ったのかもしれないが、“そうです。お久しぶりです。”と答えた




“詳しい話は後で聞くから、まずはお風呂入って温まって!ありすはお風呂長いから後ね、拭いたら着替えて来なさい”




そう言って俺を脱衣所に押し込み、風呂場の説明をして着替えとバスタオルを用意してくれた



そのテキパキとした姿に、ありすが仕事の話をする時のはっきりと物を言う性格は母親譲りかと納得した





お言葉に甘え、まずはシャワーを浴び全身を洗い、その間に溜まった湯舟にも浸かり雨に濡れて冷えた体を温めた


とは言え、夏場だしありすも早く温まらなくてはと思い短く終わらせる




用意されたありすのお父さんの物と思われる部屋着をお借りして...下着は新品と思われる物が出してあり、有難く使わせていただく





脱衣所を出て、ありすとお母さんの話し声がする方に歩を進めるとリビングのソファでお茶を飲んでいた



“お風呂ありがとうございました”とお礼を述べると、“速くないですか?ちゃんと温まりました?”とありすに怪訝そうな表情を浮かべられる





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