あの夏に見たあの町で


歩き出した金井さんの後に続き、フロアを出る





「あ、ありすちゃーん」



エレベーターを待っていると、国内組の時に同じチームだった先輩に声を掛けられた



この先輩こそが、私と新を引き合わせてくれた人物



身長は私と同じ150センチ半ばくらいで、細身のスラッとした体型に黒髪のショートボブはこけしの様だ...



ご本人もこけしが好きで集めているらしく、きっと自らも目指しているんだと心の中で会う度に思う




「張本さんお疲れ様です」



ニコニコといつも愛想が良い先輩に挨拶をする




「専務の就任式?さっき、上の階で見かけたけど、びっくりしちゃった」



と、上の階で集めてきたであろう両手に持つ資料はそのままに肩を竦めて見せる




「え?」と首を傾げると同時にエレベーターが来てしまい、何にびっくりしたのかを聞きそびれてしまった






オフィスビルを出て、隣のホテルの裏口から入る





歴史あるホテルだけど、隅々まで手入れがされていて古さは感じないどころか造りが豪華で来る度に圧巻である






式典が行われるホールに入ると社内の人間はほぼ集まっていて、続々と入ってくる来賓の対応を各々がしていた







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