あの夏に見たあの町で
守りたいもの
〜繋いだ手から〜
専務に連行された視察から2日
週が明けて、月曜の全体会議で正式に私が新館プロジェクトへ参加することが発表された
国内の新館プロジェクトに海外組からの起用に会議室内がざわめいた
正式に参加することは私自身もここで初めて聞かされ驚いていた
「今回、高山さんの起用を決めたのは僕です。彼女は予定地近くの出身でこの地域についてここにいる誰よりも詳しい。事実、計画がほぼ出来上がったデータを見て足りなかったものを的確に指摘してくれた」
突如立ち上がり、場を鎮めたのは専務だった
「彼女なくしてこのプロジェクトの成功は成し得ない。会議の進行の邪魔になりますので、意見のある方は挙手をしてご発言ください」
イケメンの真剣な顔には迫力がある
発言を終えた専務が座ると静まり返った会議室内から手を上げる人はいなかった
その後は滞り無く会議は進み、予定時刻より少し早く終わり各々がデスクに戻っていく
会議室を出たところで張本さんから声をかけられた
「ありすちゃん、今日何時まで?ご飯行こう」
今日も変わらず素敵なこけしスタイルの張本さんは、こうしてたまに私をご飯に誘ってくれる