あの夏に見たあの町で
「今日は19時くらいです」
新が亡くなって1年くらいはそれはもう頻繁に...
「私18時予定だから、下のカフェで待ってるね」
そう言って先に階段を下りていった先輩のいつもニコニコとした明るい笑顔に何度も救われてきた
19時に仕事を終えて、エレベーターで1階に降りると、カフェの窓際に座る張本さんを見付けた
なんだかぼぉーっとしてる?と思ったけど、窓ガラスをコンコンとノックするとすぐにいつもの笑顔を見せ、テーブルを片付けて出てきた
気のせいかな?
「いつものとこでいいよね?」と言った張本さんと駅の反対側にある全室個室の居酒屋に入った
わざわざ反対側に行くのは会社の人がほぼ来ないから
料理も美味しいし、騒ぐわけではないけど、個室だから周りを気にせず飲めるのもいいといった理由からほぼ毎回ここ
顔馴染みの店員さんに案内された掘りごたつの個室席で本日のおすすめから肴をいくつか注文し、ビールで乾杯する
「さて、金曜日の出来事を話してもらいましょうか」