あの夏に見たあの町で


え!?



ここでいいです?




いやいやいや良くないです!私達の意見は!?





ていうか『僕ら』!?




複数系ですか?




一瞬の内にひとり心の中で抗議している間に、背の高い男性は靴を脱ぎ、個室の中へ上がり込んだ




あなたのお連れ様ということは...




やっぱり...





後から入ってきたのは専務




入口で私の顔を見て一瞬目を見開いたが、すぐに何食わぬ顔で入ってきて、当然のように私の左隣へ座った





相席を勝手に決定した張本人は専務の向かい側、張本さんの隣に当たる位置に腰を下ろした




「お疲れ様です。あのぉ...私達の意見は...」




まだ張本さんは戻ってきてないが、今からでも他の席に行ってもらえないものかと伺ってみた




「必要ない。どうせ案内された席は隣だったから、個室だろうと話は聞こえる」




そう言いながら、専務が背中にある壁をコンコンとノックする




確かに聞こえるけども!




今さっきまで話題に出てた人と一緒に食事なんて落ち着かないんですけどぉ!





私の心の叫びは届かず、男性2人はドリンクを店員さんに注文していた





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