幼なじみとナイショの恋。

ずっとずっと胸に秘めてきた10年分の想いはいつの間にかとても大きくなっていて。


私だけで押し込めるのは、とっくにキャパオーバーだったんだと思う。


それをこうして古賀さんに聞いて貰えただけでも、何だか少し心が軽くなった気がする。


まさか、初めてはるくんへの恋心を打ち明ける相手が古賀さんになるだなんて。


ついこの間の私が知ったら、どんな顔をするだろう?



そんなことを考えていたら「あのさ」と古賀さんが座ったまま私を見上げた。



「事情はわかったけど、あんたは本当にそれでいいの?」


「……え?」


「確かにそう簡単な恋愛じゃないと思う。あんたが好きなようにすれば、あんたの母親は傷つくかもしれない。だからって、あんた一人で全部背負って傷つく必要はないでしょ?」



古賀さんのその言葉に心臓がドキリとする。



「尾上が他のヤツのものになっても、本当に後悔しない?」


「……っ」


「私、前にも言ったよね?伝えて後悔するより、伝えずに後悔する方がずっと辛いって」



学年レクレーションの時に、古賀さんに言われた言葉だ。



「後でいくら“ああしとけばよかった。こうしとけばよかった”って思っても、やり直すことなんてできないんだ。それだけじゃない。伝えることを諦めたその時点で、あるはずだった未来の可能性まで、なくなっちゃうんだよ……」
< 114 / 341 >

この作品をシェア

pagetop