幼なじみとナイショの恋。
私を見つめる古賀さんの瞳は揺れていた。
私に向けられた言葉のはずなのに、まるで自分に言い聞かせているようで……。
「古賀さんは……、後悔したことがあるの……?」
そう問う私に古賀さんは。
「……あるよ」
一言そう言って、瞳に暗い影を落とした。
それ以上は、とても聞けなかった。
古賀さんの抱えているものは、そう簡単には触れてはいけない気がして。
触れてしまったら、古賀さんが壊れてしまいそうな気がして。
聞いてはいけないと思ったんだ。
私もいつか古賀さんみたいに、後悔をする日がくるのだろうか。
例えはるくんとの未来がなくとも、想いだけは伝えるべきなの?
ううん。
そんなのはるくんを困らせるだけだよ。
できっこない。
私には、お母さんをこれ以上裏切る勇気も、はるくんとの未来を望む勇気もないのに……。
*
その日の放課後。
「うそぉ……」
下駄箱で靴を履き替え昇降口を出ると、地面に打ち付けるような土砂降りの雨が降っていた。
そう言えば今朝見た天気予報で、私達が住む地域もそろそろ梅雨本番だって言っていたっけ。
だからって、さぁ帰ろう!って時に降らなくてもいいのに。