幼なじみとナイショの恋。

私を見つめる古賀さんの瞳は揺れていた。


私に向けられた言葉のはずなのに、まるで自分に言い聞かせているようで……。



「古賀さんは……、後悔したことがあるの……?」



そう問う私に古賀さんは。



「……あるよ」



一言そう言って、瞳に暗い影を落とした。


それ以上は、とても聞けなかった。


古賀さんの抱えているものは、そう簡単には触れてはいけない気がして。


触れてしまったら、古賀さんが壊れてしまいそうな気がして。


聞いてはいけないと思ったんだ。





私もいつか古賀さんみたいに、後悔をする日がくるのだろうか。


例えはるくんとの未来がなくとも、想いだけは伝えるべきなの?



ううん。


そんなのはるくんを困らせるだけだよ。


できっこない。


私には、お母さんをこれ以上裏切る勇気も、はるくんとの未来を望む勇気もないのに……。















その日の放課後。



「うそぉ……」



下駄箱で靴を履き替え昇降口を出ると、地面に打ち付けるような土砂降りの雨が降っていた。



そう言えば今朝見た天気予報で、私達が住む地域もそろそろ梅雨本番だって言っていたっけ。


だからって、さぁ帰ろう!って時に降らなくてもいいのに。
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