幼なじみとナイショの恋。

今日一日はもつと思っていたから、傘なんて持ってきてないよ……。



灰色の空を見上げ佇んでいると。



「すげー雨」


「はるくん!」



今まさに下駄箱から出てきたはるくんが、そう言いながら私の隣に並んだ。


スクールバッグを肩にかけ、ポケットに手を突っ込みながら空を見上げている。



「はるくん、今日部活は?」


「体育館の定期メンテで休み」


「そうなんだ……」



近頃蒸し暑い日が続いているからか、はるくんはブレザーを羽織らず、長袖シャツ姿が多い。


捲し上げた袖から除く腕は筋肉質で、私のものとは全然違くて。


男の子なんだなって。


何だかドキドキする。



「優衣、傘ないの?」



急に私に視線を向けたはるくんと目が合い、ビクッと肩が上がってしまう。



「え!?あ、そ、そうなの。今日一日はもつかなって思ってたから、家においてきちゃって」



慌てて笑ってごまかすけど。



み、見ていたの気付かれちゃったかな……?


「そこは女子なら、折り畳み傘とか持っておくところなんじゃないの?」


「うっ……」



女子力の低さをクスクスと笑われてしまい、恥ずかしさで頬が熱くなる。


どうやら見ていたことには気づいていないみたいだけど……。
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