幼なじみとナイショの恋。
井田さんてば、何だかすごい勘違いをしている気がする。
はるくんに愛されてるとか、そんなわけないのに。
「ヴィオラもそうだったんです」
「へ?ヴィ……」
「ヴィオラもアンガス王子とは幼なじみで、お互いぜーったいに両想いなのに、なかなか自覚しなくて……」
「えーと……?」
これは、井田さんの好きなアニメの話だろうか……。
「アンガス王子との身分違いを自覚しているヴィオラは、自分の気持ちに気づいてもなかなかそれを受け入れることができないんです。やっと受け入れたと思ったら今度は周りにも反対されて」
ついドキッとしてしまった。
井田さんが言うヴィオラが、なんだかちょっと私に似ていたからだ。
「……それで、ヴィオラはどうなったの?」
「もう伝えちゃえばいいのに〜!ってすごく焦れったかったんです。お互い何よりも大切に思っていることは間違いないのに、なかなかくっつかなくて!」
「……うん」
「だけど、ヴィオラは最終的にみんなの反対を押し切って、アンガス王子との未来を選びました。それからは二人でいくつもの困難を乗り越えて、もちろん最後はハッピーエンドです!」
アンガス王子との未来を……。