幼なじみとナイショの恋。
そんな奇跡、起こるはずがない。
絶対にない。
例えば万に一つ、そんな奇跡が起きたとしても、どうすることもできないよ。
私なんて、はるくんには不釣り合いだもん。
こんな私なんかが、はるくんを幸せにできるはずがない。
私みたいな弱い人間じゃなく、はるくんには、はるくんを幸せにしてくれる素敵な女の子がきっといるはず。
ややこしい柵なんてなくて。
みんなに祝福されて。
誰の目も気にせず、手と手を繋ぎ歩いて行ける人が……。
「おっまたせー!って、あれ?どうしたの?みんな何か暗くない?」
飲み物を買って戻ってきた厚木くんが、私達を見て心配そうに小首を傾げる。
「何でもない。それより遅いんだけど。どこまで行ってたわけ?」
「あー、ごめんごめん!!途中で急に腹が痛くなってさ!そこのコンビニのトイレに駆け込んだのよ!あ!でも、大丈夫だよ!トイレ行った後ちゃんとカフェオレ買ったから!はい、古賀さんのカフェオレ!」
「……あのさ。今の話の流れで、そのカフェオレ無性に受け取りたくなくなったんだけど、どうしてくれんの?」
古賀さんと厚木くんがそんなやり取りをする横を通り過ぎ、はるくんが私に歩み寄ってくる。
「どうかした?」
「う、ううん!ちょっと話し込んでただけだよ」
「……ふーん。それ本当?」
「……っ」